[Java] Announcing GraalVM: Run Programs Faster Anywhere

原文はこちら。
https://blogs.oracle.com/developers/announcing-graalvm

現在の仮想マシン(VM)は、特定の言語または非常に少数の言語に対してのみ、プログラムの高性能な実行を提供します。コンパイル、メモリ管理、ツールは、‘don’t repeat yourself’ (DRY) (重複を防ぐ)の原則に違反して、言語ごとに別々に管理されています。これは、VM実装者にとって大きな負担になるだけでなく、パフォーマンス特性、ツール、および設定が一貫しないために開発者にとっても大きな負担になります。さらに、異なる言語で書かれたプログラム間の通信には、高コストなシリアライズ、デシリアライズのロジックが必要です。最後に、高性能VMは、高いメモリフットプリントの重量プロセスで、埋め込みは困難です。
数年前、これらの欠点に対処するために、Oracle Labsは仮想マシンの新しいアーキテクチャを探索するための新しい研究プロジェクトを始めました。
Oracle Labs
https://labs.oracle.com
我々のビジョンは、すべてのプログラミング言語で高性能を提供する単一のVMを作成し、プログラム間の通信を容易にすることでした。このアーキテクチャは、メンテナンス性を向上させるために統一された、言語非依存のツールをサポートし、その組み込み可能性(embeddability)の結果、VMがスタック全体で利用できるようにすることを目指しています。
この目的に適うよう、このようなVMのビルドにあたって新しいアプローチを考案しました。長年にわたる研究開発の結果、我々は今、最初の本番環境で利用可能なリリースを発表する準備が整いました。
Practical partial evaluation for high-performance dynamic language runtimes
https://dl.acm.org/citation.cfm?id=3062381

Introducing GraalVM

本日、polyglot(多言語)な世界向けに設計された汎用仮想マシンGraalVM 1.0のリリースを発表しました。
GraalVM
http://www.graalvm.org/
GraalVMは、個々の言語に対し高いパフォーマンスを提供し、さらに多言語アプリケーションでパフォーマンスのオーバーヘッドをゼロにする相互運用性を提供します。GraalVMの場合、言語境界でデータ構造を変換するのではなく、オブジェクトと配列を別のプログラミング言語で直接使用できます。

シナリオとして、例えばNode.jsコードからJavaライブラリの機能にアクセスしたり、JavaからPython統計ルーチンを呼び出したり、Rを使用して別の言語で管理されるデータから複雑なSVGプロットを作成したりすることが考えられます。GraalVMを使用すると、開発者は現在のタスクを解決するのに最も生産的な言語を自由に使用できます。

GraalVM 1.0では以下の言語を実行できます。
  • JVMベースの言語(Java、Scala、Groovy、Kotlinなど)
  • JavaScript (Node.jsを含む)
  • (CやC++、Rustで記述されたプログラムから生成された)LLVM bitcode
  • Ruby、R、Pythonの実験的バージョン
GraalVMは、スタンドアロンでも、OpenJDKやNode.jsのようなプラットフォームの一部としても、あるいはMySQLやOracle RDBMSなどのデータベースに埋め込まれていても実行できます。
Oracle Database Multilingual Engine (MLE)
https://oracle.github.io/oracle-db-mle/
アプリケーションは、標準化されたGraalVM実行環境を介してスタック全体に柔軟にデプロイできます。データ処理エンジンの場合、GraalVMは、実行中のプログラムにカスタム形式で保存されたデータを直接公開します。その際の変換オーバーヘッドはありません。
JVMベースの言語の場合、GraalVMは速やかに立ち上がり、メモリフットプリントの低い、プリコンパイルされたネイティブイメージを作成するメカニズムを提供します。イメージ生成プロセスは、メインのJavaメソッドから到達可能なコードを見つけるための静的解析を実行し、完全なAOT(Ahead-of-time)コンパイルを実行します。生成されたネイティブバイナリには、即時実行のためのマシンコード形式のプログラム全体が含まれています。 このネイティブバイナリを他のネイティブプログラムとリンクしたり、GraalVMコンパイラを包含して、GraalVMベースの言語をハイパフォーマンスで実行できるよう、JIT(Just-In-Time)コンパイルをサポートすることもできます。

GraalVMエコシステムの主な利点は、すべてのGraalVMデプロイメントに適用される言語に依存しないツールです。GraalVMのコア・インストールでは、言語に依存しないデバッガ、プロファイラ、およびヒープビューアを提供します。
GraalVM Debugging and Monitoring Tools
http://graalvm.org/docs/reference-manual/tools/
3rdパーティツールの開発者や言語開発者に対し、計測ツールAPIや言語実装APIを使用してGraalVMエコシステムを充実してもらうよう呼びかけています。GraalVMは言語レベルの仮想化レイヤーとして、すべての言語でツールと埋め込みを利用できるようにすることを目指しています。

GraalVM in Production

Twitterは、Scalaベースのマイクロサービスを実行するためGraalVMを本番環境に導入している企業の1つです。GraalVMコンパイラの積極的な最適化により、オブジェクトの割り当てが削減され、全体の実行速度が向上しています。この結果、ガベージコレクションに伴う休止が少なくなり、プラットフォームの実行に必要な計算能力が少なくて済みます。以下のプレゼンテーションでは、TwitterのJVMエンジニアが自身の詳細な体験とGraalVMコンパイラを使ってどのようにコストを低減しているかを説明しています。


現在のリリース1.0では、本番利用の場合、JVMベースの言語と(Node.jsを含む)JavaScriptを推奨しています。R、Ruby、Python、LLVMベースの言語はまだ実験的な段階です。

Getting Started

GitHub上のGraalVMオープンソースリポジトリから構築したGraalVM v1.0(リリース候補)Community Edition(CE)のバイナリは以下のURLからご利用いただけます。
GraalVM Community Edition 1.0 RC1
https://github.com/oracle/graal/releases
このリリース候補版に対し、コミュニティからのフィードバックを求めています。GitHubのIssueやGitHubのプルリクエストの形でフィードバックを承っています。
Issues
https://github.com/oracle/graal/issues
Pull Requests
https://github.com/oracle/graal/pulls
GraalVM CEに加え、本番環境でのセキュリティ、スケーラビリティ、パフォーマンス向上を目的として、GraalVM v1.0(リリース候補)Enterprise Edition(EE)を提供します。GraalVM EEはOracle Cloud Infrastructureで利用可能で、評価のためにOracle Technology Networkからダウンロードできます。 GraalVM EEの本番利用に関しては、graalvm-enterprise_grp_ww@oracle.comまでご連絡ください。

Stay Connected

最新のインストーラとドキュメントは以下のURLにあります。
GraalVM
http://www.graalvm.org/
GitHubリポジトリで、開発状況、リクエスト・エンハンスメント、または問題の報告をチェックしてください。
GraalVM: Run Programs Faster Anywhere
www.github.com/oracle/graal
以下のGraalVMメーリングリストに登録することをお勧めします。
  • graalvm-announce@oss.oracle.com
  • graalvm-users@oss.oracle.com
  • graalvm-dev@oss.oracle.com
Twitterのアカウント @graalvm でTweetします。ハッシュタグ #GraalVM でツイートやスタックオーバーフローに関する質問をチェックしています。

Future

この最初のリリースは始まりにすぎず、GraalVMのあらゆる側面の改善、特にPython、R、Rubyのサポートのために取り組んでいます。

GraalVMはオープンなエコシステムであり、独自の言語やツールを作成することをお勧めします。GraalVMは、標準化された言語実行と言語に依存しない豊富なツールを可能にする共同プロジェクトにしたいと考えています。詳細はwww.graalvm.orgを参照してください。
みなさまと一緒にPolyglotな世界のためのこの次世代テクノロジーを作っていくことを楽しみにしています。

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